かつての阪神のエース・井川慶が古巣の好調を分析「本来の力が出れば、この成績は当然」

――頭脳派なところも似ているのでは?

「自分の場合は"勝負"が好きで、その"勝負"のための努力は別に苦じゃないんですよ。『どうやったら勝てるのか』っていうのを突き詰めたり、『どうやって相手を上回るのか』っていうのはすごく研究していました」

――現役を続けてらっしゃる中でも、子供たちに指導する場面もあると思うのですが、子供たちへの指導で心掛けていることは?

「やっぱり"楽しむ"ことを大事に、ということですね。野球の楽しさをちゃんと知ってもらって、『楽しいから、じゃあ次で勝つにはどうしたらいいか』っていう段階に進むと思うので、まずは一番の基礎の部分である"楽しむ"っていうのを味わってもらいたいなと思いますし、『野球というボールゲームを楽しんでくれ』って言っています」

――今年の前半戦の阪神のドラマチックな展開をどのようにご覧になっていますか?

「最初の負けが続いていた時は勝てる試合を落としてしまっている、いわば"下振れ"が続いてしまって借金が16まで膨れ上がったっていう感じでしたが、それは本来の力ではないので。きっかけ的には『先発ピッチャーがゲームを作る』とか『後ろの3人がしっかり揃った』とか、打撃は良い時も悪い時もあるんですけど、近本(光司)くんが上位を打ってチームを引っ張ってくれているから、いい方向に向いてきていて本来の力が出てきたのかなと思いますね。本来の力が出れば、この成績は当然かなと思います」

――今年は千葉ロッテ・佐々木朗希投手を筆頭に、ピッチャーの記録づくめの年になっていると思うのですが、どういう見解を持ってらっしゃいますか?

「ここ10年、15年でピッチャーのレベルがだいぶ上がりましたよね。自分たちが(プロで)やっている時より、球のスピードも変化球のキレもコントロールの精度も違いますし。それは学生時代のトレーニングやプロに入ってからのトレーニングもそうですけど、やはり何より選手が真面目に取り組んでいるからだと思います。プロに入ることをゴールにせず、プロになってからの先を見据えて高校の時からいい教育を受けているから。あと、昔はいっぱい(いい選手に育つ可能性のある)素材があって、そこから勝ち上がってきた者がプロに行くんですけど、今は素材が少ない中で、その素材をしっかりと育てていける環境が整ったという側面もあると思います。それらが結果として表れ始めたんでしょうね」

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放送情報

マサNOTE~山本昌が記す球人の軌跡~#36
放送日時:2022年8月21日(日)0:00~
チャンネル:スポーツライブ+
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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