玉袋筋太郎がスナックを巡り、RPG⁉のような奥深い楽しみを紹介

撮影:石井小太郎

ファンの熱烈なコールに応えて帰ってきた『玉袋筋太郎のナイトスナッカーズ・リターンズ』。好評だった『玉袋筋太郎のナイトスナッカーズ』(2013年スタート)の新シリーズで、スナックをこよなく愛する玉袋筋太郎が日本各地のスナックを巡り、アポなしで突撃取材を行う番組だ。スナックとは「ぬるま湯の半身浴で混浴」と玉袋が語るように、居心地の良さを求める場所。ママやマスター、お客さんと交流を深め、スナック文化を啓蒙してきた彼ならではのスナック愛が番組にあふれている。今回はそんな番組の見どころを、玉袋が営む東京・赤坂の『スナック玉ちゃん』にて語ってもらった。

スナックはコミュニケーション能力を高めてくれる場所だと思う

"地域の社交場"であるスナックは、人と人の距離を縮める濃密な空間でもある。街を歩きながらさまざまなスナックを見つけ、お酒を介しながら会話で切り込み、そこに集う人々のドラマを玉袋がリアルに引き出していく。

「お店にはガチで飛び込みで行くの。だから歓迎されないこともあって(笑)。怪しいセールスだとか思われたりしてね。でも、番組が長く放送されるようになって、『いつも見てるよ、おいでよ』って迎えてくださる店も増えたね。現代は個を大切にする時代だけど、相席を大切にするイズムが残っている唯一の日本発祥の文化がスナックだと思う。だから、知らない人同士で横に座って飲むこともあるし、意気投合して盛り上がることもある。まさに社交場。初めて行くお店は威張って入っちゃいけないじゃない? 他人の家に威張って入る奴がいないように。それと同じで、たしなみとか一般社会における人とのコミュニケーション能力を高めてくれる場所だと思うね。それに、スナックはお客さんにとって逃げ場なんだよ。仕事で嫌なことがあって、それを家に持って帰ったらすごい嫌な空気になるじゃない。でもスナックに寄ることで、重い荷物をいったん降ろせる。ママさんたちもそういう場所であることを心得ているから、『愚痴でも何でも聞いてあげるわよ』って方が多いね」

スナックは俺にとってRPG。攻略しているわけだから(笑)

プライベートでもみずからスナックを巡るほどのスナック愛にあふれる玉袋だが、その発端はマニュアル化されたチェーン店の居酒屋が増えてきたことへの反発心があったからだという。

「最近はどこの駅前も同じような居酒屋が目立つじゃない。しかもマニュアルを優先したお店ばかりで、お客さんにベルトコンベア的にお酒や料理を運んでくるシステムが嫌いになったんだよ。だったら、マニュアルがないのがマニュアルだというところを追求して、スナック巡りに至ったわけ。地域との触れ合い、人との触れ合い、ママの生き方や人生が聞ける。そういう意味では、これは教養番組だと思っているんだ。だって、そんな体験はチェーン店にはないよね。全国にコンビニの数以上にスナックがあるけれど、みなさん、自分の暖簾で商売している。そこがすごいよ。スナックのママの誇りを感じていただきたい。接客の誇りを感じられるからね」

そんな人間ドキュメントを肌で感じられるのもスナックの魅力だ。とはいえ、見ず知らずのスナックの扉を開けるのは気が重い。常連客で占拠されている店内に足を踏み入れるのは勇気がいるが、そんな体験も自身の生活にフィードバックしていけばいいという。

「"スナックすたれば人情すたる"って思うね。この番組を見て、若い人にもぜひ行ってほしい。飛び込みでもいけるよ。でも、扉が重いか(笑)。値段も書いてないしね。だけど行ったほうがいい。そじゃないと、ドラクエでいうとマップが狭いままの人生で終わることになるから。スナックは俺にとってRPG。攻略しているわけだから(笑)。どう攻略するかを考えて、低い姿勢で入って行って、どうですか?って会話にもっていく。そういった術を覚えることで、普段の生活にフィードバックできる。その教則ビデオみたいな番組だと思うよ。それに、ジェネレーションの違う人と話すことによって得るものは大きいから。だってカラオケでおじさんたちが知らない歌を歌っていても、聴いているうちにだんだんとスピードラーニングで身についてくるんだよ(笑)。自分が歌えるようになる。それを別の店に行った時に歌うと、"お前、なんで知ってるんだ? 飲めよ"っていうことになって仲良くなるきっかけが生まれるんだよ」

筋書きのないドラマを毎晩、目の前で見られるんだから

ディープな世界に思われがちだが、ドアを開け、心を開けば、見える景色も違ってくる。そこでの人間観察は大きな刺激を与えてくれるはず。番組にはそんなスナック探訪のきっかけになりそうな魅力がぎっしり詰まっている。

「興味がない人はスナックの存在に気づかないよね。でも意識して歩いたら街にいっぱいあるから。そういうセンサーを持って歩いてほしい、気づいてほしい。ドアを開けるのは怖いだろうけど。今の人たちは最短距離でいい物にたどりつこうとするじゃない。某サイトでポイントの高いラーメン屋を他人の評価で食べに行くのはどうかなって思うよ。自分の中でポイントをつける選択眼を養ってほしい。自分なりの見立てというか。この番組は根底にそういうものが流れているからね。それに、お店に入ってみて、当たりもあれば外れもある。でも、外れも当たりだと思わないと。それも授業料。外れを怖がるからサイトを見てしまうんだよ。今、全国で7万軒のスナックがあるんだけど、7万通りのストーリーがあるっていうことだよ。その中のストーリーに触れ合っていただきたい。もしかしたら自分が物語の主人公になる回もあるだろうし、スピンオフになる回もあるかもしれない。だって、筋書きのないドラマを毎晩、目の前で見られるんだからね」

Writer:岡本明

撮影:石井小太郎

※この記事はヨムミル!ONLINEの転載になります。

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放送情報

玉袋筋太郎のナイトスナッカーズ・リターンズ #51 金町

放送日時:2018年3月14日(水)23:00~

チャンネル:MONDO TV

※放送スケジュールは変更になる場合がございます。

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