チュ・ジフンのヒット作＆意欲作が相次ぐ！挑戦を続ける今の魅力が詰まったクライムサスペンス「ジェントルマン」

検事になりすましているという嘘がバレないように誤魔化したり、戸惑ったり、焦ったりするヒョンスは、ユーモラスな味わいもたっぷり。犬と行動をともにする場面では、ヒョンスが犬に顔をぺろぺろと舐められたりと、サスペンスフルな映画でありながら思わずクスリとできるようなシーンも本作の魅力だ。

それでいてヒョンスからはどんな瞬間も色気がそこはかと漂ってくるなど、ジフンが目の離せない男として主人公を演じきっている。冒頭では車が激しく横転するドキドキするような展開をスタイリッシュな映像で魅せる本作だが、ジフンはスマートかつ体当たりのアクションにもトライ。一方でパク・ソンウンが演じる裏の顔を持つキーマンと対峙するシーンは静かな迫力に満ちており、"静と動"の演技で物語を盛り上げている。

二転三転する先読みできないストーリー運びにどんどん巻き込まれていくような作品だが、そのたびにヒョンスから滲み出ているのは痛みなのか、悲しみなのか、彼の正体を追いかけたくなる。ジフンの演技は噛むごとに深い"うまみ"が出てくるようで、次にどんな味を体験することになるのかワクワクするはずだ。多層的でミルフィーユのようなチュ・ジフンの演技にぜひ酔いしれてほしい。

文＝成田おり枝

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