横浜流星が昭和の不良のように一本気な男を熱演した青春群像劇「青の帰り道」

(c)映画「青の帰り道」製作委員会

真野は、可憐な外見からアイドルとして扱われるが、自分のやりたい音楽を諦めない強さを持つカナを好演。成功と引き換えに、次第に精神的に追い詰められていく様もリアルに演じている。一方、横浜が演じるリョウは転落人生まっしぐら。地元では悪い先輩たちとつるんで工事現場の部品を横流ししてクビになり、逃げるように東京に来てからはオレオレ詐欺で荒稼ぎしていく。世をすねた生き方をして、いつ刑務所に行ってもおかしくないリョウだが、仲間に向ける友情だけは素直で、カナが鬱屈を抱えて荒れていっても、まっすぐに彼女を支えようとする。一本気だから道を誤るし、一本気だから仲間との絆が回復すれば戻ってこられる。そんなリョウを嫌いになることはできない。

横浜がタバコをくゆらし「いつかデカいことをやる」とイキがってみせる姿は、まさしく"不良"が主人公になっていた昭和の青春映画のようで、強い瞳の表情でクラシカルなスター性を発揮している。入念な役作りをしつつも、最終的には役柄を自分のように引き寄せて一体化する横浜ならではの、他の作品では見せない顔が見られる。

そんな横浜流星も、2012年に「仮面ライダーフォーゼ」で俳優デビューしてから10年が経過。2023年9月で27歳になる。「青の帰り道」の藤井道人監督とまたしても組み、ゴミ最終処分場で働く男を演じた「ヴィレッジ」は4月21日(金)に公開される。そろそろ青春スターからは卒業し、大人向けのサスペンス映画の主役にもなれることを証明するチャンスであり、その意味でも注目の最新主演作だ。

文=小田慶子

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放送情報

青の帰り道
放送日時:2023年4月22(土)9:00~、2023年5月8日(月)18:45~
チャンネル:WOWOWシネマ
※放送スケジュールは変更になる場合がございます

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