2009年に劇場公開された本作は、小栗が27歳の時の作品。不良映画というものは、普通の学園ものよりは、あまり年齢的な縛りがないことが多いが、ある意味での青臭さは絶対的に必要な要素だ。特に源治は、腕っぷしが強く猪突猛進なところはあるが、本人が人間関係にあまり自信がないと自覚しているように、不器用なピュアさも表現する必要があるキャラクターだ。
ひょんなことから相棒となる鈴蘭OBの片桐拳(やべきょうすけ)とのやり取りも、圧倒的な腕っぷしによるカリスマ性がありつつも"弟感"満載の、どこか人たらしな一面も垣間見せる。
そんなキャラクターを小栗は好演している。三池監督らしい激しいバトルシーンで魅せる圧倒的な強さの一方、なんとも言えない天然的な隙も同時にみせるという絶妙なバランスで源治というキャラクターを演じている。
芹沢役の山田をはじめ、桐谷健太、上地雄輔、高岡蒼甫、遠藤要、大東俊介、高橋努、深水元基ら、個性的な不良たちが変わらぬ"個"をぶつけるなか、源治は物語の最初と終わりで大きな成長を遂げる。約2時間という時間のなかで魅せる表情の変化も、源治というキャラクターの見せどころであるが、小栗は見事に表現している。
不良映画でありつつ、力だけでは決して頂点に立つことはできないというメッセージ性も、どこか戦国武将的な要素もあり、スッと入っていけるストーリーテリングになっている。
仲間がやられたにも関わらず、トップだからと行動に出られなかった源治がつぶやく「つれーんだなこういうのって...。テメーがやられた方がよっぽどましだな」というセリフ。25歳を過ぎた男が学生服を着て、違和感なく説得力を持たせるということだけでも、やっぱりすごいなと唸ってしまう。
文=磯部正和
放送情報【スカパー!】
クローズZERO
放送日時:4月5日(金)21:00~
放送チャンネル:WOWOWプラス 映画・ドラマ・スポーツ・音楽
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