男女の肉体とそれぞれの思いが、さまざまな形で混じり合う空間、ラブホテル。人間個々の本性があらわになる、そんな特別な場所を舞台に複数のカップルのドラマを映し出した群像劇が映画「さよなら歌舞伎町」<R-15>(2015年公開)だ。
メガホンを取ったのは、数々の恋愛映画を手掛けた廣木隆一。男女の心情を描くことに長けた廣木監督が構築する世界で、人物たちの内面を丁寧かつ、胸を打つ演技で表現したのが、W主演の染谷将太と前田敦子だ。
染谷が演じたのは、歌舞伎町のラブホテルで雇われ店長をしている青年・高橋徹。前田は、デビューを目指すミュージシャンの飯島沙耶を演じた。
2人は同棲していて、物語は徹と沙耶が部屋にいるシーンから始まる。他愛のない会話、他愛のないじゃれあいは、どこにでもいるようなごく普通のカップルだ。2人が自然な空気を醸しているため、仲の良い様子がスッと心に入り込んでくる。染谷も前田も、冒頭から観る者を引き込む演技はさすがと言える。
しかし互いにどこかアンニュイな雰囲気を漂わせてもいる。実はこの時、2人とも相手に言えないものを抱えていて、それがこの後、発露することになる...。











