その後、幕末から明治という激動の時代の中、大阪府権判事という要職に就いた五代は、大阪に一大商業圏を構築するために奮闘。第27話では、あさの家を訪れ、義父・白岡正吉(近藤正臣)に「大阪商人の皆さんに力を合わせてカンパニーを作っていただきたいのです」と熱弁を奮い、爽やかな笑顔と英語と薩摩弁なまりが入り混じった熱い語り口で正吉を口説き落とそうとする。しかし、その場にお茶を出しにやってきたあさの無気力ぶりに怒りを覚えた五代は、あさを「おい、そこの娘!」と呼び止め、説教を開始。五代の「あんたにもこの店にも、もう用はない。潰れるんやったら勝手に潰れたらええ」という売り言葉を買った、あさを演じる波瑠とのバトルシーンは要注目だ。それまではにこやかで洗練された言動の五代が、感情を露わにしながら、あさと口ゲンカを繰り広げる。ディーンと波瑠による息詰まるような演技合戦にハラハラさせられるも、あさの歯に衣着せぬ物言いに感動した五代が「ワンダフル」と、またもや瞳を輝かせる。ディーンが浮かべる少年のように無邪気な笑顔にハートを射貫かれる女性が続出。彼を「五代様」「おディーン様」と呼ぶ熱狂的ファンが急増したことは、多くの人の記憶に刻まれているだろう。
爽やかな笑顔とパワフルな生きざまで、主人公・あさを導いていく五代をドラマチックに演じきったディーン。劇中で年齢を重ねていくごとに大人の色気を倍増させていった彼の魅力が遺憾なく発揮されたのが、第77~78話にかけての物語だ。心の友・大久保利通を暗殺で失い、嘆き悲しむ五代を演じるディーンの姿は、乱れた長い前髪も手伝って、とてもセクシー。その上、自分の身を案じ、駆けつけてくれたあさに弱みを見せる場面では、それまでの五代のパワフルなイメージからのギャップも手伝い、女性ファンをさらなる"五代沼"へと引きずり込んだ。
五代がその生涯を終えたという描写のある第95話が放送された当時は、「五代ロス」というキーワードがネットを埋め尽くしたほど、多くのファンに愛された五代を見事に作り上げたディーン。彼の大ブレイクのきっかけとなった名演技をその目で再確認してみてほしい。
文=中村実香
放送情報【スカパー!】
連続テレビ小説 あさが来た
放送日時:2024年11月9日(土)11:50~ほか
チャンネル:ファミリー劇場
※放送スケジュールは変更になる場合がございます
詳しくはこちら