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「懲役十八年」では、「男の顔は切り札」とは少し違う安藤の魅力が見えてくる。特攻の生き残りである元海軍将校・川田が、戦後の混乱の中で、亡くなった部下たちの遺族を守ろうとする物語で、安藤の東映初出演作でもある。「男の顔は切り札」に情の濃さや熱がある一方で、「懲役十八年」に流れているのは、もっと重くて苦い感情だ。
川田という役には、生き残ってしまった側の負い目がある。しかも将校だったからこそ、その思いはなおさら重い。安藤はそこを、悲壮感たっぷりに演じるのではなく、無骨なまま抱えているように見せる。強い男として立ってはいるが、どこか軽くはない。その重さが、この映画にはよく合っている。台詞で気持ちを細かく語らなくても、責任を背負っていることが伝わるのは、安藤の身体そのものに説得力があるからだろう。
演じる人物は違っても、「男の顔は切り札」にも「懲役十八年」にも、安藤が画面に現れた瞬間の強さがしっかりと刻まれている。感情を押しつけるように見せるのではなく、立ち姿や視線、声の響きだけで人物の重みを伝えてしまう。その存在感こそが、俳優・安藤昇の大きな魅力だった。生誕100年という節目にあらためて作品に触れるなら、この2本はその凄みを知るのにふさわしいはずだ。この機会に、時代を超えてなお色褪せない安藤の芝居を、じっくり味わってみてほしい。
文=川崎龍也


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