「生き物は生きるヒントを与えてくれる」ココリコ・田中直樹の仕事観に影響を与えた原体験とは?

タレント・芸人

――特に好きになったきっかけや、原体験はあったのでしょうか?

「30歳ぐらいの時に、ありがたいことに自分たちの番組をやらせてもらえるようになったり、仕事をたくさんいただけたりするようになったんです。ただ、その中で、求められるものに自分の実力がついてこなくて、うまくいかないことも多くなっていきました。そういったことから、人間関係もうまくいかなくなって。そのくせ体も疲れてるんやけど、寝る時間がなくて心も体もしんどいなって思うこと、頭がこんがらがることが増えていたんですね。

その時に、生物学上のカタカナの"ヒト"として自分を考えたときに、食べ物を食べれて、屋根があるところで寝ることができて、もう生き物としては最低限のことをできている、十分じゃないかと思ったんです。そう思えたら、今まで低かった自己肯定感がぐんと上がったわけではなくとも、普通くらいにはなって。そう思わせてくれたときに、生き物たちに対して感謝とか尊敬とかが芽生えてきて、より一層好きになりました。いろんな生き物たちが積み上げてきた、その先に僕たちがいるので、生きるヒントを与えてくれるところも魅力です」

――具体的に、どのような生きるヒントを得ましたか?

「本当にたくさんあるんですけど、コロナ禍でステイホーム期間中"しんどいな"って思ってたときには、ドウケツエビっていう海の中に住んでいる生き物を思い出していました。ドウケツエビは、洞穴に入ると一生そこから出られないんですよ。僕らはコロナ禍が落ち着けば、外に出られましたけど、今もドウケツエビは海の中にいる。そういうことを知った時に、よし頑張ろうって思ったりしましたね。

それから、生き物ってそれぞれ住んでる場所があるんです。海の中の生き物でも表層、中層、深海。ジャングルでも、地面、木の枝部分、葉の上みたいに。そう考えた時に、きっと人間界にも自分が住むのに適している場所があるって思っていて。そう思うと、肩の力が抜けました。うまくいかないことがあっても、自分に合った生き方を見つけられたらOKだなって。もしも今いる場所で上手くいかない人がいたとしたら、絶対合っている場所があると考えてみてほしいなと思います」

――素敵ですね。まさに新生活のタイミングなので、田中さんから読者の方にメッセージをお願いいたします!

「もちろん、今置かれている環境で一生懸命生きることも大事ですけどね。そこで生きなきゃいけないっていう環境だったら、どうやって適応するかって考えるのが生き物だと思うので、まずは目の前の状況に一生懸命になってみる、与えられた環境で生きることが大事なのかなと思います。実際、居続けることで、なんかいいところが見えてきたり、いろんな方向に道しるべになってくれるようなこともあったりしますからね。

実際に僕、若手のとき、テレビに出るより前は劇場の仕事しかなくて、当時は"また劇場か"って思っていたんです。今考えたら、それはどれだけ恵まれているのかってわかるんですけど、当時はやっぱりテレビが憧れだった。ただ、そのときに目の前の仕事を丁寧にやっていたら、お笑い好きのADさんが自分のお金を出して、いろんな劇場を回っている中で、僕らを見つけてくれて、ディレクターさんとかプロデューサーさんとの打ち合わせで僕らの名前を出してくれて、オーディションに繋がって......。何がどう繋がるかわからないから、目の前の仕事を精一杯頑張っていくしかないなって、その時に思いました。もちろん、あまりにも理不尽な環境に長く居続ける必要はないと思いますけど、とりあえずそこでやらなきゃいけないんだったら、全力でやってみるっていう考え方も時にはポジティブな方向へと繋がるんじゃないかなと思っています」

文・写真=於ありさ

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