(C)2020「#ハンド全力」製作委員会
本作はスポ根作品の形を取りながら、実は震災という重いテーマがその根底に流れている。自分ではどうにもならない"何か"によって、夢や自身の願いなど何かを諦めなければならなかったという無力感や苦い思いは、現代の若者たちの共通項ではないだろうか。そんな若者たちに課せられた宿命さえも加藤は役として、そして同世代の人間としてしっかりと背負い、カメラがそれを緻密に写し撮る。そんな加藤演じるマサオが現実と向き合い、「どうにもならないものを、どうにかしよう」と口にするとき、本作は他のスポ根青春ものとは違う輝きを放つはずだ。
(C)2020「#ハンド全力」製作委員会
そんな高校生たちを支え見守る大人たちには、確かな存在感を持つキャストたちが名を連ねている。中でも目を引くのは、女子ハンドボール部の顧問役を演じる安達祐実だ。厳しいながらも生徒のことを考えて寄り添う彼女の姿が、場の引き締め役になっている。主演の加藤が「こども店長」なら、安達も天才子役として名を馳せた人物。2人の共演シーンには、何か妙な感慨を覚えることだろう。
震災、スポーツ、SNS、そして青春という、一見相容れない要素を見事にまとめた本作。青春映画らしい高校生たちの輝きとリアルを味わいつつ、ふと社会の一面について考えさせられるような作品に仕上がっている。
文=本永真里奈






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