小林旭の貫禄とカッコよさが全開!陣内孝則ビートたけしの存在感も際立つ「修羅の伝説」

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(C)東映

ほかの共演陣では、大滝が可愛がる幹部・山中役で登場する内藤剛志も好演。大滝を全力で支え、抗争場面で暴れつつ、部下である組員の三浦(坂上忍)に接する場面の優しい表情が印象的だ。近年では重厚な刑事役の印象が強い内藤だが、当時はこのような役柄を得意としていた。そんな山中と対照的に、冷徹な幹部として大暴れする山岸(清水健太郎)と、佐野(白竜)らが、東映ヤクザ映画の王道的な演技を見せてくれるのが嬉しい。

昭和の任侠精神や男の美学をテーマにした本作は、古き良きヤクザ映画の定番であり、弱い者を守ろうとする誇りや忠義といった「侠気」の世界観を描いている。さらに「仁義なき戦い」に見られるような暴力団同士の派手な抗争と、その裏に絡む巨大な利権や政治の腐敗といった社会的背景も描き出したことも特徴だ。

劇中の大滝をして"ヤクザより腹黒い奴"と言わしめる、真の巨悪が大企業や政治の世界に暗躍し、大滝はそんな強大な敵にも挑むことになる。クライマックスのド派手な抗争シーンの迫力は見事だが、単なるアクションではなく、人間ドラマとしての側面も重視していることにも目を向けたい。抗争で死んだ人間の葬儀の場面を挿入し、彼の妻が涙にくれるシーンなども印象的だ。

東映チャンネルで放送される「修羅の伝説」は、主演の小林旭が貫禄十分の演技で魅了する任侠・ヤクザ映画の王道だ。無骨な男たちが抗争を通じて見せる忠義、男の美学、さらに組織と利権社会の対立がクールな視点で描かれており、バイオレンス映画のファンにも支持されている。

若き陣内孝則のカッコよさ、俳優としてのビートたけしの風格にも着目してほしい。決して知名度の高い作品ではないものの、近年の映画にはない魅力を持つ力強い一本だ。筆者が意外なラストシーンに意表を突かれたことも付け加えておこう。

文=渡辺敏樹

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