
一方、「MIKI IMAI 20th Anniversary Concert "Milestone"」では、武道館公演とは違い、歌手として重ねてきた時間がより前面に出ている。2007年3月18日、東京国際フォーラム ホールAで行われたこの公演は、20周年を迎えた今井が、これまで歌ってきた曲や歩んできた道のりを、一つひとつ確かめるようなライブだ。
前半に並ぶ「夢」「夢の夜」「初恋のように」「去年は、8月だった」「未来は何処?」からは、今井が歌の中でさまざまな時間をたどっているような印象を受ける。恋の記憶や若い頃のまぶしさ、迷い、未来への問いが、彼女の声を通して自然につながっていく。20周年ライブというと代表曲を中心に華やかに振り返る構成を想像しがちだが、「Milestone」は少し違う。これまで歌い続けてきた時間を見つめながら、その先へどう進んでいくのかを確かめるようなライブになっている。

この公演で聴く「PRIDE」や「PIECE OF MY WISH」も、武道館公演とは少し違って聞こえてくるのも興味深い。2004年の武道館では、大きな会場へ伸びていくような開放感が印象的だったが、20年歌い続けてきた今井の歩みを踏まえて見てみると、曲そのものは変わらなくても、歌う時期やステージが変わることで、聴こえ方は少しずつ変わってくるのに気づく。
40周年という節目にこの2本を見返すと、今井が長く愛されてきた理由も見えてくる。今井は、時代ごとに大きく姿を変えてきたというより、自分の歌の魅力を少しずつ深めながら歩んできたアーティストだ。透明感のある声、品のある表現、日常の感情をすくい上げる歌い方。その積み重ねがあるから、代表曲も懐かしさだけで終わらず、今聴いても自然に心へ届く。40周年は、過去の功績を振り返るだけの節目ではない。今井が今も歌い続けていること、その歌が今も新しく響くことを確かめるタイミングでもある。
だからこそ、この2本のライブは単なる過去の映像としてではなく、今井の40年がどのように積み重なってきたのかを知る手がかりとして見てみると面白いだろう。代表曲の魅力はもちろん、節目ごとにその曲がどのように歌われ、どのように新しい表情を見せてきたのか。歌謡ポップスチャンネルの40周年特集で放送されるこのライブ映像は、今井の歴史を振り返ると同時に、今も歌い続ける今井の現在地を確かめる機会にもなるはずだ。
文=川崎龍也











