下野紘「向き合い方が変わっていった」 アーティスト活動10年で掴んだ確かな手応え
声優
――そして、今回はジャケットも話題になっていました
「タキシード姿で、ちょっと指揮者っぽい雰囲気がある、というところだけで気になるって言ってくださる方もいて(笑)。実はこれ、少し変わった形のタキシードなんです。横がベストみたいなデザインになっていて、上の黒いジャケットを脱ぐと、思った以上に胸まわりの印象が強く出る形で。『このままだとちょっと......』みたいな話にもなりました(笑)」
――限定盤にはジャケットメイキング映像に加えて、MV6曲も収録されます。今回のベストにあたって、MVを見返したりもしましたか?
「少しだけ見ました。でも、じっくりは見られないですね。恥ずかしくて(笑)。もちろんいろんな人に楽しんでもらおうと思って撮っていただいたものなんですけど、それでも自分の映像を改めて見るのは照れますし、見返すとすぐ『もっとこうすればよかったな』って反省が始まっちゃうんです。ポージングとか、角度とか、表情とか......」
――そうした照れくささはありつつも、これまで積み重ねてきたものを改めて実感する機会にもなったのでは、と感じました
「いろんなMVにチャレンジさせてもらったな、というのは改めて感じました。『ONE CHANCE』は雨に濡れながら走って歌うシーンがあるんですけど、あれは僕が"雨に濡れながら歌いたい"って要望を出して(笑)。叶えてもらったのは忘れないですね」
――撮影の思い出でいうと、ロンドンで撮影した『WE GO! -On Your Mark-』も印象的です
「全部覚えていますよ。ロンドンで撮影して、雨で寒いロンドンから、晴れ渡ったロンドンまで味わいました。"ロンドンって晴れるんですね"って言ったのも覚えています(笑)」
――改めて、アーティストデビューから10年が経ちました。下野さんにとって、この10年間はどんな時間だったと感じていますか?
「どんどん歌うことが面白くなっていった、そして好きになっていった10年だったと思います。最初の頃は、"下野紘として歌ってパフォーマンスする"ということが、自分の中で本当にわからなかったんですよね。キャラクターソングであれば、そのキャラクターの感情や立場を軸に客観的に考えられますし、"このキャラクターならこう歌うだろう"という拠り所がある。けれど自分の曲となると、最終的には全てを自分が背負わなきゃいけない。その"全てを自分が背負う"という感覚が、当初は掴めなかったんです」
――"自分自身の名前で歌う"からこその難しさや戸惑いがあった、と
「そうですね。1曲1曲に、どんな想いで向き合えばいいのか。どう表現すればいいのか。最初はその答えが見えないことも多かったです。でも、歌って、ライブをやって、少しずつ積み重ねていく中で、"責任"や"覚悟"みたいなものが形になっていった気がします。自分に何ができて、何ができないのかを突きつけられる場面もありましたけど、それを受け止めていくことも含めて、アーティストとして歌うということなんだろうな、と感じるようになりました」
――そうした経験は、声優としてのお仕事への向き合い方にも影響を与えた部分があったのでしょうか
「影響はありましたね。褒めていただいたり、肯定していただいたりしても、最後に自分が納得できるのは、自分自身が自分を肯定できたときなんだ、ということを、この10年で強く感じるようになりました。その感覚があると、声優の仕事でも"自分は何を大事にしたいのか"が前よりはっきりしてくるというか。向き合い方が変わっていったと思います」









